子宮筋腫について

2022/10/27

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  子宮筋腫

子宮筋腫とは子宮を形成している平滑筋成分より発生する筋肉のこぶのような良性腫瘍です。小さいものを含めると30歳以上の女性の20~40%に見られるほどのポピュラーな婦人病の一つです。子宮筋腫は月経のたびに女性ホルモンの影響で大きくなっていき、閉経を迎えると小さくなっていきます。

 

<子宮筋腫の種類>

子宮筋腫は、筋腫のできる場所によって3つのタイプがあります。

   漿膜下筋腫:子宮の表面近くにでき、子宮体部から外に向かって発育するタイプ

大きくなるまで症状が乏しい

   筋層内筋腫:子宮筋層内にでき表面や子宮内宮に向かって発育するタイプ

大きくなると不正出血や早産の原因となる

   粘膜下筋腫:子宮内膜の粘膜面下にできるタイプ

不正出血や不妊症の原因となる

 


<症状>

   性器出血:不正出血・月経過多・月経期間の延長などを引き起こし貧血の原因となる

   腫瘤感:腹部膨満感・腫瘤に気づく

   疼痛:月経困難症・下腹痛

   圧迫症状:膀胱圧迫による頻尿・排尿障害、尿管圧迫による水腎症、直腸圧迫による便秘など

   帯下(おりもの):粘膜下筋腫で多くなりやすい 

<治療>

保存療法(子宮筋腫を消失させる根本治療ではありません)

①経過観察:すべての子宮筋腫が治療が必要というわけではありません。超音波で定期的に観察をしていきます。

②対症療法:疼痛に関して鎮痛剤、月経過多による貧血に対して鉄剤の投与。

③偽閉経療法:薬または注射で6カ月ほど卵胞ホルモンを低下させ、閉経の状態とさせ筋腫を栄養失調にさせる方法です。女性ホルモン低下による更年期症状・骨密度低下の副作用があり1クール6カ月を限度とします。

 

■手術療法(場合によっては薬または注射で小さくしてから手術をすることがあります)

①開腹による方法:おなかに10cm傷がつきますが、筋腫の大きさの程度、癒着の強い場合、悪性の可能性などやむおえない場合に行います。

②腹腔鏡下に行う方法:腹腔鏡を入れるところ、手術器具を入れるところなど数か所、場合によっては摘出物を出す小さな傷がつきます。子宮全摘の場合膣式と併用することがあります。術後の回復が早く経過が良ければ翌日から歩行可能です。

③膣式による方法:おなかに全く傷がなく膣式に行う方法です。比較的大きな筋腫でも分割して取り出せることもあります。術後の回復が早く経過が良ければ翌日から歩行可能です。

 

開腹手術でも腹腔鏡手術でも子宮を残す手術を行った場合、子宮筋腫の再発の可能性があります。術後も子宮がん検診を含め定期健診が必要となります。


         伊集院産婦人科 伊集院 吐夢