新型コロナワクチンについて

2021/10/25

t f B! P L

 新型コロナウイルスは比較的新しい病気のため「妊婦さ

んとワクチン接種」についての考え方が時の経過ととも

に変更されています。そのため妊婦さんも混乱し、迷っ

ているようです。「考え方」の流れをまとめてみました

ので、皆様のワクチン検討の礎としていただきたいと

思います。


mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが妊娠、胎児、

母乳、生殖器に悪影響をおよぼすという報告はありま

せん。従って、妊娠中、授乳中、妊娠を妊娠を計画中

の方も接種することができます。ただし、妊娠12週ま

では、偶発的な胎児異常の発生との区別が難しいため、

以前は接種を避けるとされていました。


2021年6月に産婦人科専門の3学会から『新型コロナウ

イルスについて』の知らせがありました。「希望する

妊婦さんはワクチンを接種することができます」と発表

され、妊娠週数については削除されています。


その後の流れとしてアメリカ疾病対策センター(CDC)

から接種を強く推奨するとの声明が出て、日本でも8月に

は学会から『第2報』が発せられました。「妊娠時期を問

わずワクチンを接種することを お願いします」との

お勧めお願いの文面に変更されています。

現在私たちは、『第2報』に従い、診療を行っています。



新型コロナは近年耳にするようになったため、ワクチン

短期間に出来上がったように感じられるかもしれませ

んが、mRNAワクチンの手法は約15年ほど前から詳し

研究がされていました。


通常のワクチンは、ウイルスの一部の蛋白質を投与する

ですが、mRNAワクチンは蛋白質作るもととなる遺

伝情報の一部を投与する方法であり、ウイルスを体内に

入れるものではありません。しかも、短期間に分解され

体内に取り込まれることはないと考えられています。


妊娠後期にウイルスに感染すると重症化しやすく、糖尿

病、高血圧、気管支喘息などの基礎疾患のある妊婦さん

は特に注意が必要といわれます。


ワクチンによる妊娠中の異常(流産、早産、その他)

は、受けなかった妊婦さんと同じと報告されました。

妊娠中に接種すると、産後に赤ちゃんを感染から守る効

果がまた、授乳中の接種も赤ちゃんを守る効果が期待さ

れます。


副反応について心配されるでしょうが、治療を必要とす

る程度のアナフィラキシー(急性のアレルギー)反応が

おこるのは非常に稀で、ほとんどは注射部位の痛み、疲

労、発熱であり、数日以内に回復します。


以上が、現在のワクチンに対する主な考え方です。


ご参考にしていただき、ワクチン接種をご検討

ください。


            伊集院産婦人科 釜付 眞一